月明りに照らされて

蒼風さんのアンテナに引っかかったことをつらつら書くブログ。商業作品中心。

LINEノベルとカクヨムの収益化システムから見る、「売り方」の未来

※本稿はカクヨムにも並行投稿しております。

 

 

はじめに

 先日、twitterを眺めていたらこんなフレーズを目にしました。それは「LINEノベル」。なんだそれはと思って調べてみると、既存のネット小説投稿サイトと大体は同じだけれども、一部違う所もあるという事が分かってきます。

 また、もう少し前、カクヨムが「Web小説を書く人が直接収益を得られる環境作り」に挑戦するとして、小説を書くユーザーが直接収益を得られるシステムを作るつもりであるという事を発表しました。これに関しては正直もっと先の話になるだろうと思っていたのでかなり意外だったのをよく覚えています。

 今、「本が売れない」というフレーズばかりが飛び回っています。恐らく普段から本を読む習慣がない人でも、出版業界が斜陽であるという事実はきっと知っているものだと思います。漫画雑誌ですら発行部数の減少は止まらず、小説雑誌に至っては五桁、つまり一万部がやっとという物も少なくないと聞きます。

 そんな時代において、何とか出版を盛り立てようとする二つの取り組みをざっと眺めたうえで、今後どうしていけばいいのかについてざっくりと書いてみようかなと思ったのが本稿を書くきっかけです。纏まりきっていないところもありますが、何かを考えるきっかけになったら嬉しい限りです。

 

LINEノベル

LINEノベルとは何か?

 さて、まず「LINEノベル」とは一体何なのかについて掘り下げていきます。「LINEノベル」はざっくり言ってしまうと「既存の商業作品も一部読むことが出来る、小説投稿サイト」のようなものだと言えると思います。

 カクヨムでも作家の公式連載などがありますが、恐らくはあれに近い形(それよりももっと規模の大きい物と思われる)をやろうとしているものだと思われます。後は既存の作品。現在出てるのだと『ソード・アートオンライン』とか。編集長が三木一馬氏なので、まあ彼に関わってる人って事なんでしょうか、その辺りの繋がりはまだ分かりませんが。

 それ以外では作品を投稿するシステム。この辺りは既存の小説投稿サイトと同じ。ただ、ちょっと違うのはそこに載っている小説に一つの出版社がオファーを出した時に、参加する他出版社に情報が共有される点。ここ、多分あんまり注目されてないけど、大きな点だと思います。勿論出版社が「他の出版社がオファーを出した注目作品に良い条件でオファーを出す」という事をきちんと出来ればという条件は付くのですが。

 後は(恐らく既存の書籍化作品等のみ)は一部有料コンテンツになっているんですが、これがもう一つ面白くて、読んだ時間によってチケットを手に入れられて、そのチケットを使って続きを読めるというシステムになっているみたい。要するに既存のスマフォゲーのスタミナとかと全く逆のシステム。これも詳しいところを見てみないとですが、構造としては良い感じですね。

 

LINEノベルの注目ポイント

  で、この「LINEノベル」なんですが、注目すべきポイントが二つほどあります。

 ひとつめは「商業作品の掲載」。これがどれくらい無料で、どれほどのものが読めるのかについては今後作品が出てこないことには分からないのですが、取り組みの質自体は結構良いんじゃないかなぁって思います。

 これが何をやっているのかというと「既に売られている作品(大体は人気作)」や「人気作家の新作」を「数を読むことで無料で読んでいける」という事。その「読むだけ無料」のペースがどれくらいになっているのかによって大分受ける印象は変わってきますが、作品をデジタルデータとして、サイトで読む分には無料になるよというのは凄く良いんじゃないかなって思いますね。これまでだと創作物、例えば小説を読むためにはやっぱり書籍を買うっていうのが大前提で、それ以外の手段は無かった訳だけど、今の時代は例えばネットのサイトに掲載して読んでもらうっていう事が普通に出来るようになっている訳で、そんな中で、作品を単純に、サイト(或いはアプリ)で読む上では無料だよ、というのは時代に合っているんじゃないかと思いますね。まあこのチケットが全然手に入らないとかなってくると何の意味も無いんですけどね。実質あってないような物にするのが一番ですかね。

 ふたつめは「作家が良い条件を選びやすいシステムである」という事。具体的には前項「LINEノベルとは何か?」でも触れた、オファーが参加しているすべての出版社に共有される、という所です。

 これはまあ、ちょっとまだ出版社有りきなシステムで個人的には物を申したいところもあるわけですが、オファーを出したことが他の人にも伝わるというシステムは良いと思います。これが何でいいかって言うと、例えばPV数が多くて、明らかに人気のある作家でなくとも、可能性のある作家に安値で声をかけた出版社がいたとすると、そのオファー情報が他出版社にも行くわけですから、その作家の価値はそんなもんじゃないって思う出版社がいれば更に好条件を提示して振り向いてもらうことが出来るという訳で、作家側としては結構良いシステムなのかなとは思います。

 ただまあ、こっちにはちょっと問題があって、作家に対するオファーはあくまで参加している出版社にしか共有されないんですよね。勿論、大手は結構参加している(2019年4月17日現在でKADOKAWA講談社、新潮社、集英社実業之日本社スターツ出版、宝島社、東京創元社文藝春秋が参加)ので、問題ないといえば問題ないのですが、これがもう少し広がっていくといいと思うんですよね。この辺り難しいかもなぁ……結局批判の的になる「小説家になろう」が強いのってまさにここで、あくまで作者や作品を重視するスタイルなんですよ。これを出版というか会社サイドの儲け(もっと言うと目先の小銭稼ぎ)に主軸が置かれた瞬間に機能しなくなるから、そうなり切らずに、参加出版社は増えていくといいと思うんですけど、多分難しいだろうなぁというのが個人的な読み。それが出来てればこんな斜陽になってないと思うので。

 後もう一つ問題点を挙げるとすれば結局出版社が条件を提示じて、書籍化してっていう流れが変わっていない(それ以外のビジョンが不足している)っていうのも気になるんですが、これに関しては後述します。

 

LINEノベルは覇権足りえるか

 ざっとその概要を確認してきた「LINEノベル」ですが、今までの投稿サイトを変えるようなターニングポイント。分かりやすく言えば「覇権」足りえるのかという部分なんですが、結論だけ先に言っておくと自分は「NO」だと思います。多分、そこまで大きくはなれないんじゃないか、と。

 何で覇権足りえないのかと言うと、これはもう分かりやすく「既存の枠組みから脱却していない」からなんですよね。より具体的に言うならば以下のような構図。

 

マチュアの物書きが小説を書く

出版社がそれを見出して、声をかける

 ↓

書籍化する

売れたり売れなかったりする

 

 この構図。これが従来型の小説、ないしは広く創作物が世に出ていく仕組みです。その中で「出版社が見出す」というフェーズに関しては時代で微妙な変化があって、かつてはやっぱり漫画大賞とか、小説大賞に応募して、大賞を取ってというのが基本軸だったけれど、最近は「小説家になろう」や後述の「カクヨム」などの小説投稿サイトから作品や作者を見出して、書籍化させるというスタイルが増えたという感じ。

 じゃあ「LINEノベル」はどうなのかっていうと、これも結局は上記の小説投稿サイトと同じで、出版社のやる「小説大賞」をWebでもやるようになったよねってだけなんですよ。構造としては過去ずっとやられていたものと同じ。タイプ的には「カクヨム」が一番近いとは思いますが、結局のところ最終的には出版社が書籍を出して、それが売れたかどうかで続きだすか決めるよって形。つまり新しい物として出てきているけど、やってる事はそこまで変わってないんですよね。勿論LINEだから手軽に読めるみたいなメリットも無い訳ではないですが、後続というデメリットとほぼ帳消しかなというのが個人的な感想です。

 とはいえ、この「LINEノベル」。三木一馬氏が関わっている訳なんですが、この人、現状自分が知っている限りだと、創作に対するアドバイスの仕方とか、見出し方が今のところ自分に一番近いんですよね。だから良いかは分かりませんが、見るほうの力は信頼出来そうだって言うのは一つ大きいと言えば大きいかなと思います。後大賞の賞金が300万円と結構多いのもポイントかもしれない。うむ。

 

カクヨムで今何が起きているのか

カクヨムの新たな取り組み

 さて、ここまではずっと「LINEノベル」という新しいプラットフォームについて述べてきました。ここからは既に存在する投稿サイト「カクヨム」が行った取り組みについてざっくりと掘り下げていきます。

 

二つの”収益化”

 カクヨムは2019年4月1日に新しい取り組みについての発表をしました。それはつまり「収益化」。

 収益化っていうと身構えてしまう人もいるかもしれませんが、要は「小説を書いている作家に直接お金が入る仕組みを作るよ」ってことです。その軸はふたつあります。

 ひとつめは、「広告掲載」。これはもう多分、色んな所で目にする機会があると思うので説明するまでもないとは思うのですが、要するに小説の一部分に広告を掲載して、その収益を作者に還元するというシステムです。勿論全てが作者に入るわけではないと思うのですが、現状そのようなシステムはゼロなので、作者にとってはマイナスになるようなものではないかなという感じ。広告も邪魔にならない場所にという事なのでその辺りは大丈夫っぽいですね。そういう見やすさに関しては信頼してよさそうなので。

 ふたつめは、「投げ銭」。これは自分もブログの方でちょこっと書いたのですが、ようするに「作者に直接お金を渡す」というシステムです。既にこの手のシステムはいくつか存在していて、それらと投稿サイトは基本独立していました(note辺りは一緒になってますが)が、今回カクヨムはそれを一体化する、という事ですね。これ、凄く言いシステムだと思うんですよね。今までだと作者が利益を得られる瞬間っていうのは、基本的には物が売れたその瞬間、つまりは書籍化したタイミングしか無くて、それ以外はどんなに書籍化に近くても0だったんですよね。それが人気な人であれば、そこそこの収益が入ってくるわけで、それはやっぱり余裕にもつながるわけで、良いなって思いますよね。実際自分も投げてみたい人は思い浮かぶので余計に。

 と、まあ上記の二つが軸で、それ以外にも様々な事を検討していく予定のようです。個人的な話にはなりますが、こういう話。もっとずっと先になると思ってん単ですよね。ややきつい言葉にはなりますが、カクヨムは出版社が絡んでいるので、分かりやすく自分の利益にならないことってやらないと思ってたので。ただ、実際この取り組みがカクヨム側の利益にならないかっていうと、間違いなくなるんですよね。実際収益化が簡単となれば人も集まりやすくなりますし、そうなってくれば当然、良作を書ける人も集まりやすくなるわけで。そういう環境ってカクヨムサイドからしてみれば最高な状態なんですよね。そのフェースに足を踏み入れたのは凄く良かったかな、と思いますね。

 

変わりつつある「本を売る」カタチ

出版業界の危機と模索

 ここまではずっと、小説投稿サイトの新しい取り組みについてざっくりと纏めてきました。主に二つの大きな話題を取り扱いましたが、他のサイトをのぞいてみても、同じような軸で語る事が出来る話題はまだまだあるかと思います。

 今、出版業界は斜陽です。出版関連を扱ったニュースや書籍を漁ってみれば恐らくその数字はいくらでも出てくるでしょう。漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』はその発行部数を全盛期の3分の1まで落としているという話も聞きます。

 しかし、だからこその新しい取り組み、なのです。出版社だってそのまま沈んでいくのを指をくわえて待っている訳にはいきません。何とかしなければならないという意識は確かに持っている。だからこれだけ新しい話が出てくるのです。その根源にあるのは間違いなく「出版業界全体への危機感」なんだと思います。

 そこで、ここからは、そもそも「出版ってなんぞや」という事をざっくりと考えつつ、今どうしたら良いのかを考えていこうと思います。

 

出版社とは何か?

 書籍化するということにおいて、現状大きなウエイトを占めているのが出版社です。ではこの出版社、そもそも何で存在するのでしょうか?

 現代においては、書籍などが印刷物として世に出回るというのはもう一般的になっていますが、過去においても必ずしもそうだったわけではありません。例えば有名な古典である『源氏物語』などの時代にはまだ書籍を出版するという技術はありませんでした。じゃあどうするのかというと、原本(ないしは複製物)を書き写すのです。もう、一文字づつ。それしか手段が無かったから。

 で、そこから書籍に関しては二つの変化が起きます。

 ひとつめは「出版技術の誕生」です。どのあたりから本格化したかとか、技術のマイナーチェンジに関しては色々ありますが、これで一つの書籍を書き写すことなく複製することが出来るようになったわけです。

 ただ一方で、一人の力では限界があります。例えば作家がひとつ、いい作品を書いたとしても、それを一人で出版して、売ってというのは到底無理です。勿論同人誌のような形を取れば出来ないことは無いでしょうが、それでも限度があります。そこで出てくるのが出版社。つまり作家が「物を書くプロ」ならば、出版社は「出版物を売るプロ」なわけです。まあそれ以外にも役割があったりしますが、おおざっぱに言えばそんな感じ。

 そしてふたつめは「ネットの普及」です。これがかなり大きい。それは何でかって言うと、ネットが普及することにより、一人の作家が、理論上は世界中の人間に作品を発信することが出来るようになったから。勿論、書籍を出版するという部分に関しては依然として(というよりは以前にも増して)出版社の力が重要にはなってくるのですが、こと作品を作者が発信する、見てもらうという部分に関しては、出版社の力を借りたり、書籍を出版しなくても出来る可能性が出現してきた、という訳です。

 

作家と書籍と出版の関係性を考える

 前項でも述べた通り、「書籍化」や「出版社」というものは、かつて、作品を世に送り届ける上で必要不可欠でした。しかし、現代においては必ずしもそうではなくなっています。例えば作品を多くの人に届けるだけであれば、投稿サイトなどが存在する。なんなら個人サイトで公開しても(理論上は)大丈夫です。

 それに加えて、「書籍化」というものが権威的である理由には「利益が得られる」という部分があります。これもまた一作者が、多くの読者からお金を貰うという事が理論上不可能で、だからこそ「書籍」として販売して、利益の一部を作者が貰うという形(それ以外にもいくつかの形がありますが)を取っていたのです。ところが既に上げた「カクヨム」の取り組みの他、今は作家に対して投げ銭をする、というシステムはそこまで珍しくありません。

 こうなってくると、作家と書籍、それから出版の関係性は大きく変わってきます。以前は作家の書いた作品を、出版社を通して書籍化して、多くの人に買ってもらい、それを利益として作家に還元していく。これがほぼ唯一に近いシステムでした。しかし、このシステムは当然色々な問題があります。作家がどれだけ凄い作品を書いていたとしても、出版社がそれを出版しなければ収益はゼロですし、読む側からしても、書籍を買う以外の形では作家にお金を渡せません。書籍を買う程ではないんだけど、好きだという気持ちをお金として返還するシステムが無い。これに関してはカクヨムも件の取り組みに関するページで以下のように書いています。

 

 これまで小説の執筆によって収益を得るには書籍を出版してその印税を受取るという方法が一般的で、書籍を出版できるかどうか、1か0かの世界だったと思います。今回の取り組みはこれまでの書籍化を否定するものではなく、1と0の間に新しい段階を設け、創作活動の間口を広げることで書籍についてもこれまで以上に拡大させ、創作活動全体を盛り上げていければと思っています。

 

 これはまさにその通りかなという感じで、収益に関しても作家のレベル(というのが良いのかは分かりませんが)に応じて変化していくという事でしょう。

 

「出版社」と「書籍化」と「収益化」の再検討

 ここまで述べてきたとおり、作家が作品を世に送り出すという事や、お金を貰うというシステムに関しては変革の必要性があります。その一つが既に述べたカクヨムの「収益化」という取り組みにもなってくるのですが、本項では最後に「出版社」と「書籍化」と「収益化」の立ち位置を再検討してみようと思います。

 まずは「出版社」。かつては作品を世に送り出すという意味で権威的で、絶対的でした。しかし、現代においては作品を世に送り出すことはもう、作家単体でも出来るようになっている。ではどうしたらいいのか。答えは簡単。作家一人では出来ないことを補えば良いんです。

 具体的に考えていきます。今現代において、作家が作品を公開することは出来ます。じゃあ何が出来ないのかといえば、宣伝です。これは自薦だけではなかなか難しい。勿論、ここに「流行らせんかな」という意識が入った瞬間に駄目になるという前提はありますが、良い作品が、日の目を見ずに消えていくというのは往々にしてある事です。

 また、「作家を育てること」。これも作家単体では難しい場合が多いです。可能性はあるんだけど、悪い所が多い作家に対してアドバイスをし、良いところを伸ばしていく。それが出来るプロフェッショナルは依然として必要となってくるでしょう。これもまた、出版社が担ってきたところで、これからも担っていくべきところです。

 そして次に「書籍化」。これは立ち位置が大分変わります。今までは書籍化を通して世に送り出されていましたが、これからはその立ち位置が自由になる。つまりは「書籍化を通じて世に送り出してもいいし、既に人気の作品を書籍化してもいい」という事です。極端な話、ネット上で完結した人気小説に加筆修正したものを出版してもいいんんです。以前ならばそれを出来るのは一握りでしたが、現代では人気な作品を書いていればそれだけで収益が得られるようなシステムが出来つつある。作家の収益は「書籍化で初めて」ではなく、むしろ「書籍化」は「ファンへのサービス」のような形もあっていいのではないでしょうか。

 最後は「収益化」。これはもうカクヨムが既にやっているような取り組みが近い所かなと思いますが、要は「作家」が「書籍を出版していなくても人気に応じて収益を得られる」のが理想なのかなという感じ。それは広告という形でもいいですし、投げ銭という形でもいいでしょう。書籍化と絡めて、クラウドファンディングを行うというのも一つの手かもしれません。そういった「0か1ではない収益化」が出来るようになっていくことが、作家、そして創作業界全体にとってもプラスになっていくんじゃないかなぁと。やっぱり頑張っていい物を書いたら、その分お金になるっていうのは素直に嬉しいですし、良いものを書いている人にはなんらかの支援をしたいなぁと思いますからね。そういう気持ちを無駄にしない形が大切なのかなぁと。

 

おわりに

 さて、ここまでは「LINEノベル」を話のとっかかりとして、小説投稿サイトから、書籍化という一連のシステムについて、新しい形を模索してきました。その為書きたいことの多くは大体書くことが出来たので、ここからはちょっと違う話。

 先日ネット上(というかTwitter)でこんな話を見ました。「凡人」は共感性を、「秀才」は再現性を、そして「天才」は創造性を大事にする。しかし、「凡人」は「天才」には共感出来ない為、結果として「天才」を潰してしまう――そのような趣旨の記事でした。詳しくは北野唯我の『天才を殺す凡人』を読むと早いとは思いますが、なんとも悲しい話だなと感じました。

 今、これを読んでいる人は恐らく「天動説」を信じている人はいないでしょう。皆地球は球体だと知っているし、海を進んでいくと落っこちてしまうなとと思っている人はいないはずです。それは長年の研究によって証明されたからですが、何も最初からこれが定説だったわけではありません。「地動説」を唱えれば頭がおかしいとされた時代が確かにあった。今は常識でも、昔では非常識。そんなことは世の中にいくらでも転がっているのです。

 さて、「天才」「秀才」「凡人」の話に戻りましょう。こと「地動説」に関して、最初に気が付いたのが「天才」だったはずです。しかしそれは「再現性」がないとして「秀才」に批判され、「凡人」からは共感されなかった。ところが段々研究が進んでいくうちに、実は正しい事を言っていたという事が分かる。「天才」が死後評価されるのは大体においてこれが理由ではないでしょうか。多くの場合「数字」という「再現性」 は後からついてくるものなんです。

 今、出版業界は数字の後を追っかけています。PV数が多い作品を書籍化し、売れた作品を映像化し、更に売れた作品の二期をやり、劇場版をやり。とにかく数字ばかりを追いかけているというのが現状です。それはつまり「リスク」を取りたくないから。

 確かに、書籍として作品を出版するのであれば、コストはかなりかかります。失敗すればリスクも大きい。それを取るのが難しいというのはもっともな話です。ではどうすればいいのか。答えは簡単、そんなものはやめてしまえばいいんです。デビュー=書籍化と考えるから「リスクの多い書籍化」が増える。そうではなく、書籍化は「かならず売れるもの」という状態を作る。その上で、「書籍化すれば売れる作品が生まれる土壌を作る」。これが今出版社が選ぶべき道なのではないかなぁと、ぼんやりと思う訳です。

 随分と話がとっちらかりました。多分色々と抜けがあると思います。でも、これを読んで、創作業界を良い方向に向けるアイデアを考える「天才」が一人でもいたらいいなぁと、考えてやまないわけです。

 

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