月明りに照らされて

蒼風さんのアンテナに引っかかったことをつらつら書くブログ。商業作品中心。

2019年秋アニメ総評

 2019年秋アニメも出揃い、自分もある程度は一話を見て回り、その評価を出せたかなぁという事で、総評でもという感じ。総評と言うと全話視聴してからやるものな気もするのですが、現段階でもうある程度可能性は見えているので、その辺りにも言及しつつ行きたいと思います。細かな話は良いから各作品ごとの評価が知りたいという場合は一番上の「2019年秋アニメ一話感想一覧」一番手っ取り早いかと思われます。

 

 

2019年秋アニメ一話感想一覧

S評価

『アサシンズプライド』

『バビロン』

『星合の空』 

A評価

『アズールレーン』

『あひるの空』

『俺を好きなのはお前だけかよ』

『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-』

『旗揚!けものみち』

B評価

『歌舞伎町シャーロック』

『放課後さいころ倶楽部』

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』

『ライフル・イズ・ビューティフル』

C評価

『戦×恋』

『神田川JETGIRLS』

『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる』

『私、能力は平均値でって言ったよね!』

D評価

『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』

 

一話巡りをしての感想

見て損のない作品はどれか?

 まず重要なのはやっぱりここでしょうか。いくら定額制の動画配信サービスなどで確認しやすくなったとはいえ、アニメ一話を確認するというのはやっぱり大変な作業です。自分も一つのクールに放送する作品をざっとでも確認するというのは数年ぶりになるのですが、思ったよりも長丁場になってしまったな、というのが正直なところ。感想の方はその内容ほど時間はかかっていないのですが、それでもこんな時期になってしまいました。まあそもそも試験的な試みだらけなのでいいかなという事で。

 で、本題。今期のアニメ見て損の無い作品はどれかと言われると正直難しいです。いや、本当の話。自分が「これはもう間違いない。絶対見ないと損をする」と言い切れる作品があれば良かったのですが、残念ながら一話だけでそこまでの断言を出来る作品は無かったかなぁというのが結論になります。

 じゃあ何を見たらいいのかといえば大体「評価ランクが上の作品ほど失敗しづらい」という結論になると思ってもらって構いません。勿論、そこ視聴者ひとりひとりの好みというバイアスはかかりますが、前提条件としての「質」に関しては出来得る限りフラットな目で見て並べたつもりです。強いて言うならば完全にギャグ作品に換算される『旗揚!けものみちは、そもそも評価が上がりにくい(シナリオの起承転結性をメインに評価している為)というのもあるため、これだけはSと同格の可能性があると思ってもらって良いのかなぁという気がします。一番笑えたのは間違いなくこれです。

 それ以外ではやっぱりSランクに分類した三作品が安定しているという結論になってきますが、どれも欠点がいくつあります。

 まずアサシンズプライド。これは単純なポテンシャルでは一番だと個人的には思っています(主従という関係性を強く評価しすぎている可能性もありますが……)。ただ、この盛り上がりはある程度の布石を打った状態で出てくるともう少し良かったかなぁという感じはします。主人公ヒロインの関係性やその周辺が整理され切ってない状況で出す話かなぁという感じはありました。でもパワーは一番あると思います。

 『バビロン』はこの三作品の中では一番見ていてすっと入ってくる作品でした。ほんの少し淀みがあるとすれば、キャラクターの感情というか台詞ですかねぇ……ミョーに綺麗というか、テンプレート感があるというか。逆に言えば問題点はそこだけ。後気になるのは作者が『正解するカド』と同じという点でしょうか。あれ、相当斜め上の話で終わったと聞いていて、多分説明不足だったんだろうなぁという感じがするので、そういう部分が出なければという感じでしょうか、一話の段階ではほぼ完璧。ただキャラクターを楽しむという要素はかなり薄いかと思います。

 『星合の空』はこの中では一番話が重いです。内容は間違いなくきちんと作ってあるのでそういう「構造上の瑕疵」は無いです。無いんですけど、話がなぁ……ちょっと重い。全体的に暗い作品というとパッと思い浮かぶのが残響のテロルで、あれも話の構造は間違ってないけど高評価を出さなかった記憶があるんですよね。

 基本的に物語見る者がいるありきで、シリアスだから批判するみたいなことはするべきではないと思うんですけど、やっぱり重さはある程度配慮があっていいんじゃないかと思うんです、正直。話はまずくないんですけど。一話からかなり重いので、視聴後の後味が悪くならんかなぁというのだけが心配ですね。意外とそういうのって響くんですよね……後半重いけど名作という作品は案外、前半は嘘のように軽いんです。ちょっと質は違いますが中二病でも恋がしたい!の一期なんかはそのバランスが上手かったかなぁと記憶しています。あれくらいのタイミングでよかったとおもうんですよね。重くなるの。

 後はまあ、ランクを下げるごとに受けない/継続視聴しない人が増えるだろうという感じでしょうか。例外は上記の通り『旗揚!けものみち。後は日常系に近い放課後さいころ倶楽部』『ライフル・イズ・ビューティフル』あたりも多少上ぶれの可能性があると言えばあります。この辺りは肌に合うか合わないか、でしょうか。個々の感想はそれぞれの記事を見てもらえれば、という感じです。

 

今回の目的と純粋な感想

 ここまでは「2019年秋アニメ何が面白いんだろう」という疑問に答えるため(余り応えられていない気もしますが)の感想でした。

 で、ここからはもっと個人的な感想

 今回数年ぶりにアニメの一話を巡って確認したのには色々な訳があります。もちろんそこには良い作品に巡り合いたいという気持ちもありましたし、物によっては原作を知っていて単純に「どうなっているかな」という興味で覗いたものもあります。ただ、それ以上に今回気になっていたのはずばり「深夜アニメの質っていまどうなってるのよ」という点でした。

 最近創作に関しては色々な声が聞こえてきます。ポジティブなムーヴメントを起こそうという声出てきてはいるのですが、まだまだネガティブな話が多いです。そんな中で気になったのが「アニメの質」だった、という訳です。毎クール新アニメのリストは流れてくるのですが、どうもその一覧を見ても「オーラが無い」と感じてしまい、見ないというのがここ数年の流れだったのです。そんな流れでアニメ一話を見て感じたことを純粋に並べてみる事にします。

 

大賞受賞作という安心感と素材感

 まず上記の中に所謂ライトノベルの「大賞」を受賞した作品がふたつあります。アサシンズプライド俺を好きなのはお前だけかよです。この二つが大賞受賞作だという話を知って自分が覚えた感想「やっぱり腐ってもプロは一応見る力がある」ということ、それから「しかしながら素材をどう料理するのかは余り詳しくなさそうである」という事でしょうか。

 前者はまさにそのまま。腐ってもというのは言い過ぎかもしれませんが、オーラの全くない作品ばかりを見させ続けるとどうしてもその目利きには疑問を呈したくなるものです。ただ、一応見る方の力……というか「ある程度完成された作品をちゃんと見出す」くらいの事は出来るみたいだなぁという感じ。それも出来ないともう何のためのプロだよってことになっちゃうので、これは一安心。

 ただ問題は後者。アサシンズプライド俺を好きなのはお前だけかよはどちらも共通して「着想はいい」という作品です。その良さだけでもわたり切ってしまうだけの力はある一方で、「もっと活かす方法はあったのではないか」というのが個人的な感想です。前者だったら主人公の過去をちらつかせるだけでも大分違ったんじゃないかなぁ……その辺りはもっと深く見ていかないといけないですが、いずれにしても素材をそのまま出しました感が否めないなぁと思います。ファンタジアは結構前からそんな感じな気はしますけどね。

 

オリジナルアニメという手堅さ

 今期、オリジナルアニメはいくつかありました。あえて名前を列挙することはしませんが、S評価予想の『星合の空』オリジナルです。その他にも何作かあるのですが、総じてある程度以上の安定感はあったかなぁという感じがします。評価ランクC以下に沈んでいるのはゲームと絡めたメディアミックス展開という自分としては割と「地雷ワード」を抱える神田川JETGIRLS』位でしょうか。この辺りは「小説家になろう」とは全く逆で、割と「最初からのファン」が少ない所からスタートですからね。質もある程度でないと認められないんでしょうか。その選別をもっとやってほしいんだけどなぁ……

 

苦しい「異世界転生」

 悪名高きと言って良いでしょう。異世界転生」。今回は五作品ありますが、自分の中で「確実にBは超える」自信をもって言えるのは『旗揚!けものみちだけ。厳しいですね。別に「異世界転生」が悪いわけではないんでしょうが、やっぱり所詮は一ジャンルですからね。これだけ多くの作品が出たら水源としては枯渇するでしょうという感じ。書く側もそれを分かっているのか『旗揚!けものみち『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる』のようにひとつ捻った作品が出てきているという感じでしょうか。ちなみにほぼ同義として扱われがちな小説家になろう」出の異世界転生三作品(※)あるのですが、トップが評価B(最終話まで見ると一段階下がる可能性が大)で、他二つが一話でC(及第点以下)という状態。結構PV数とかで凄い凄い言われがちな「なろう」ですけど、出てくるものがこれだと、個人的には「だから?」という感じプラットフォームとしては良いんだろうけど、素人の人気は素人の人気という事なのでしょうか。

 

(※『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる』『私、能力は平均値でって言ったよね!』)

 

大切なものを失ったような「喪失感」

 今回多くの作品に感じたのがこれです。主にB~Cランクにいる作品に当てはまりがちなのですが、どうも「大切なもの」すっぽりと失ってしまったような欠けた感じのある作品が多かったです。恐らく世間的に言われる言葉で言えば「尖り」でしょうか。売れないことを意識する余り「大衆受け」に走り、結果として「大切なもの」を失った輝きの弱い作品が生み出され、売れずにより「大衆受け」に走っていく。そんな動きが見て取れました。この動きは恐らくアニメに限った話ではないのですが、余り良くないですね……勿論「尖りすぎてて受けが悪い」ということはありますが、基本的に爆発的なヒットが出るものというのは「尖っていてなお、適度に大衆も分かる」というものなんですよね。それから棘をとったら、まあ受けないよねっていう感じで。

 

まとめにならないまとめ

 ここまで色々書いてきましたが自分のやりたいことは一つです。それはすなわち「もっと見通しをよくする」こと。今の目的はそれにつきます。

 上記の通り、アニメひとつをとってもあまり芳しい状況ではありませんアニメ会社に限らず採算がどうとか、倒産だとかそういった話が出てきます。そんな話を見るたびに「何とかできないものか」と考えてきました。

 その一つの結論がこれです。今、創作に関する問題は様々あるとは思います。しかし、一番の問題は「いったい何が起きているのか」が全くもって分からなくなっていることなのではないかと思ったのです。

 アニメの見方一つとっても様変わりしました。以前なら録画していたものでも、今なら定額視聴サービスを使えばいつでも見る事が出来ます。見逃しても「これ面白いよ」という話を聞いて追いつけるという利点はありますが、一体何がどう便利なのかは正直自分もまだよくわかっていません

 本だって同様です。定額のサービス、電子書籍。レーベルはびっくりするほど増え、良く分からないものがいっぱいある。それが自分の感想です。もちろん良く分かっている人からしたら常識なこともあるでしょう。しかし、その認識の共有が出来ているのかといえば恐らく「NO」ではないかと思うのです。

 そんな訳で、まずはこの見通しの悪い界隈を見渡せるようにと思い。ひとつ「アニメの一話感想でも書いてみよう」と思い立った次第です。思い立って行動に移したのが十月に入ってからだったので細かな事は出来ませんでしたが、何らかの役に立ったら幸いです。

 これからは……どうしましょうか。正直自分もどこから手を付けるのが正しいのかはまだ全然わかっていません。取り敢えずは濁った水を泳いでいるような状態だけはなんとかしたいなぁとぼんやりながら思っています。魚が泳ぐにもまずは水を綺麗にしなければ意味がないという事で。まだまだ考え中です。取り敢えずは2020年冬アニメは何があるかチェックして纏めるところからですかね。アニメをチェックするスタイルで行くのかどうかも決まっていませんけど。